埼玉平和センターは浪江福治議長を団長に、9月22日から4日間、韓国に21人の代表団を派遣しました。これは靖国問題や教科書問題などを通じて歴史認識が問われているなかで民衆レベルの交流を通じて両国民の連帯を深めようと企画されたもの。
一行は安重根義士記念館や西大門刑務所歴史館、独立記念館を視察したほか、太平洋戦争での被害真相調査や被害補償訴訟を進めている太平洋戦争被害者補償推進協議会や韓国教職員組合、アジアの平和と歴史教育連帯など運動団体とも交流し、意見交換しました。
今回の訪韓は安倍政権の誕生と重なりましたが、日本の進路が国内にとどまらず近隣諸国にも大きな影響を与えるものであり、日本での闘いが重大な意味を持つことを痛感させられるものとなりました。
なお参加者の感想をまとめた報告集が近く発行されます。
被爆61周年の原水禁大会が8月3日の福岡市での国際会議を皮切りに、4日から6日まで広島大会、7日から9日まで長崎大会がそれぞれ開かれました。広島大会に6600人、長崎大会に3800人が参加しました。
5月の大阪地裁に続いて広島大会初日の4日に広島地裁が国の原爆症認定申請却下は不当だとして被爆者が起こした訴訟で原告ら41人全員の請求を認め、処分を取り消す画期的な判決を言い渡したこともあり、大会は盛り上がりました。被爆者の平均年齢は73歳を超し被爆者援護法の改正をはじめ、援護は急務です。
昨年に引き続き原水禁、連合、核禁会議の3者による「核兵器廃絶2006平和ヒロシマ(ナガサキ)大会」のほか分科会やフィールドワークが取り組まれました。
埼玉からは13回目となったヒロシマに学ぶ子ども代表団の12人はじめ、全体で約50人が参加しました。
県内には2700人余りの被爆者が生活していますが、7月30日に県原爆被害者協議会(肥田舜太郎会長)が主催する「埼玉県原爆死没者慰霊式」がさいたま市南区の別所沼公園で開かれ、県平和センターを代表して浪江福治議長があいさつしました。
第19回反核平和の火リレーが西コースは8月3日と4日の2日間、東コースは7日から10日までの4日間それぞれ実施されました。合わせて480人のランナーが県内274.5kmをヒロシマの平和の火を手に走り抜き、36の自治体を回りました。出発式は7日、県庁前で行われ、浪江県平和センター議長も激励しました。ご協力に感謝します。
部落解放関東ブロック共闘会議は9月9日(土)と10日(日)の2日間、狭山市で交流会に引き続き現地調査を実施します。交流会では中山武敏狭山再審弁護団主任弁護人が講演するほか、石川一雄さんが決意を述べる予定です。翌日の現地調査は従来10月に行っていたフィールドワークも兼ねることにしています。
また8月5日に開かれた解放同盟県連が呼びかけた拡大狭山闘争本部会議では狭山裁判の再審開始を求めて新100万人署名や東京高裁・高検への要請行動などに取り組むことを確認しました。
朝霞市の中学校教員・中條克俊さん(埼玉教組教文部長)が『君たちに伝えたい朝霞、そこは基地の街だった』を刊行したことを記念する集会が8月26日午後、同市で開かれました。埼玉教育フォーラム(共同代表、浪江福治県平和センター議長ほか)が主催したもので、約60人が参加。
集会では金子彰埼玉教組委員長が「教育基本法改悪は戦争への道」と題して講演したのに続いて中條さんが「基地の街朝霞の歴史が伝えるもの」というタイトルで講演。中條さんは、戦前戦後の朝霞の歴史にふれながら「占領時代の歴史が風化している。『君たち』とは子どもであり、若者、年配の人たちにも伝えたい。これからも子どもたちに関心を持たせるような授業をしていきたい」と結びました。
この後、出版元の梨の木舎代表の羽田ゆみ子さんと女性史研究者の鈴木裕子さんを交えてシンポジウムが開かれました。
国会での教育基本法改「正」案の審議は秋の臨時国会に継続となりましたが、埼玉県内では改「正」の先取りともいえる動きが相次いでいます。埼玉平和センターは、その一つひとつの動きに埼玉教育フォーラム(共同代表、浪江福治県平和センター議長ら9氏)や埼玉教組(金子彰委員長)などとともに抗議し、子どもの教育権の確立を求めてきました。 |
教育基本法改「正」案の国会審議を通じ、小学校6年生の通知表で「愛国心」を3段階で評価している小学校が県内に50校以上あることが明らかになり、6月13日にこれをやめるよう求める要請行動を熊谷市など関係自治体4市2町の教育委員会に対し行いました。
埼玉教育フォーラムなど5団体は各教委に、@「愛国心」につながるような評価項目を削除するよう評価をしている学校に求めること、A子どもの内心の侵害に当たる行為は厳に慎むよう教職員に周知すること、B外国籍の子どもたちの民族的アイデンティティを侵害しないよう教職員に徹底することーーの3点を要請しました。
これに対し各教委は「誤解を招かない表記にするよう各学校に話している」「適切な評価項目とするよう求めた」などと回答し、当該の学校では見直しの方向で検討していることを明らかにしました。
6.14「愛国心を評価する通知表について」
各教育委員会へ申し入れ
戸田市の伊藤良一教育長が6月13日の市議会で卒業式や入学式の「君が代」斉唱で起立しない来賓がいることは「はらが煮えくりかえる」「『内心の自由だ』と言う人がいるようだが、生徒たちの前で規律を乱すようなことがあってはならない」と答弁し、さらに起立しなかった来賓の名前と人数を教職員を通じて調査する意向を示しました。
憲法違反と疑われかねないことを市議会という公の場で発言したことは重大な問題だとして埼玉教育フォーラムなど6団体の代表は6月28日、現行法や政府見解をも逸脱した発言の撤回と一切の調査をしないことを求めて同教育長に要請しました。
これに対し、同教育長は「要請について受け止めさせていただく」と述べるにとどまりました。
上田清司県知事は6月27日の県議会一般質問への答弁で「古今東西、慰安婦はいても従軍慰安婦はいなかった」「」と発言しました。
この暴言に多くの団体、個人から抗議の声があがりましたが、埼玉教育フォーラムなどが主催して開かれた川越市とさいたま市での集会では抗議文を採択し、発言の撤回を求めました。
また7月10日には社民党県連合の日森文尋代表(衆院議員)らが野本能伸知事特別秘書と面会し、「従軍慰安婦の存在や軍の関与は歴史的事実であり、公式の場で歴史をゆがめるような発言をすることは問題だ」と指摘しました。
しかし、野本氏は「慰安所の存在や軍の関与を否定している訳ではない。『従軍』という言葉を使うことに問題を投げかけただけだ」「戦後60年経っていつまでも戦後補償がいわれることはおかしい」など、弁明と居直りに終始しました。
7.10,「従軍慰安婦問題」への知事発言について
上田県知事に申し入れ
右から
中山幹事長、日森衆議院議員、野本特別秘書、
金子埼玉教組委員長、池田女性部長
被爆61周年の8月を前に、原水禁埼玉県民会議が主催して7月15日、県労働会館で反核・非核交流会が開かれたのに続いて平和行進が大宮区役所までの5.7kmをコースに150人が参加して実施されました。
交流会では浪江県平和センター議長と日森社民党県連合代表(衆院議員)が主催者を代表してあいさつしたのに続いて広島で9歳の時に被爆した原田秀一さん(県原爆被害者協議会副会長)が自らの体験を語りました。昨年大腸がんになったという原田さんは、「被爆体験を語れるぎりぎりの年齢だが、あと何年生きられるか分からない。核兵器はこんな身体にしてしまうということを示している。核兵器を何としても廃絶してほしい」と訴えました。
「ヒロシマに学ぶ子ども代表団」や反核平和の火リレー、原爆絵画展の取り組みの報告が行われたあと、35度を超す暑さの中をヒバクシャの思いを胸に行進しました。
愛国心の評価を通知票に盛り込んでいる小学校が県内に50校前後あることが明らかになり、批判の声が高まっています。埼玉教育フォーラム(共同代表、浪江福治県平和センター議長ほか8氏)では6月5日に開いた幹事会でこうした動きは教育基本法改悪の先取りともいえるものであるとして、愛国心評価を行わないよう13日に関係自治体に要請行動を行うことを決めました。