2006・2/22更新

 

 埼玉県平和運動センターは12月15日に第7回定期総会をさいたま市で開き、新年度の活動方針を採択するとともに(要旨は別掲参照)、浪江福治議長(自治労)−高坂清事務局長(県私鉄)を先頭とする執行部を再選しました。


主催者として挨拶する浪江議長


 総会には個人会員も含め代議員、傍聴者、役員など80人余りが参加。浪江議長があいさつした後、民主党の秦哲美県連副代表(県議)と社民党の日森文尋代表(衆院議員)から激励のあいさつを受けました。
 高坂事務局長の活動報告と活動方針案の提案には補強する立場から7人の代議員が発言に立ちました。


この1年の取り組みを報告する代議員


 議長と事務局長以外の総会で選ばれた主な役員は以下のとおり。
 ▽副議長 細内正夫(建設埼玉) 同 前島祐次(全農林) 同 片岡明幸(部落解放同盟)▽事務局次長 金子 彰(埼玉教組) 同 中島 修(事務局=専従) 
 ※前島副議長以外は留任


勢ぞろいした新役員 



【資料】埼玉平和センター 2006年度活動方針


はじめに
 9月の総選挙に圧勝した自民党は、10月末に「新憲法草案」を発表しました。小泉首相の靖国神社への参拝や名護市辺野古沿岸部への基地建設の日米両国政府の合意、横須賀への原子力空母の配備決定と、まさに平和憲法の理念を公然と否定する動きが相次いでいます。
 また、対テロを名目に、国際法や国連を無視した米国・ブッシュ政権の単独行動主義が強まり、イラクでは今でも米軍と抵抗勢力との攻防が続き、市民も含め多数の死傷者が生まれています。在日米軍基地の強化を重要な柱とした世界的な米軍基地の再編・強化(トランスフォーメーション)の中間報告が10月末に発表されましたが、小泉政権の協力のもとで進もうとしています。
 しかし、こうした動きに怒り、憂慮する人々も確実に増えています。11月3日から本県を会場に開かれた第42回護憲大会には主催者の予想を大きく上回る4千人が開会総会に結集しました。翌日の分科会のどの会場も満員で、熱心で活発な意見交換が行われました。私たちにはこの成果をこれからの闘いにどう引き継いでいくのか問われています。 
「愛国心強調」の教育基本法への改悪や共謀罪の制定、防衛庁の防衛省への昇格など、改憲に向けた地ならしともいうべき動きが強まっています。2006年はこうした動きを阻止する重要な年です。
 人権をめぐっても多くの課題が山積しています。最高裁は再審開始を求める狭山裁判の特別抗告を事実調べを全く行うことなく棄却しました。狭山事件弁護団は来春の第3次再審請求に向け準備を進めていますが、狭山事件の地元として解放同盟などとともに運動を盛り上げ、石川さんの完全無罪を実現しなければなりません。
 1999年12月に平和・人権運動を担う労働組合の組織として活動を始めて6年が経過しようとしています。2年前から民主団体や個人・グループにも加入を呼びかけるようになりましたが、その責任はますます大きくなっています。
 そこで、埼玉平和センターは、2006年度の重点課題を次のように設定します。

  1. 埼玉県平和運動センターの名にふさわしい平和・国民運動の一層の推進を図ります。第42回護憲大会の成功をふまえ、各構成組織と各ブロック、地区から平和憲法の改悪に反対する運動を強化します。
  2. 組織の拡大、強化を実現します。新規加入組織と個人・グループ会員の拡大に努力します。
  3. 制度・政策要求、学習活動の推進を図ります。
  4. 中央の「フォーラム平和・人権・環境」(平和フォーラム)や関東ブロックをはじめとする各都道府県の平和運動センター、全国基地ネットワークとの連携の強化を図り、平和・国民運動を推進します。


T、平和・国民運動の前進

 1,護憲運動の強化
 憲法の改悪に反対し、平和と民主主義、人権を守る運動を今後とも強化します。とりわけ平和フォーラムが提起する諸課題への取り組みを推進します。
 自民党は通常国会で憲法改「正」につながる国民投票法案の成立を目論んでいます。また「国民保護計画」に基づく労働者・市民に戦争協力を強いる動きが進み、市民社会の監視を強める共謀罪の成立が狙われています。これらの動きに反対します。
 また改憲の露払いとしても教育基本法の改悪が狙われています。改悪を許さない取り組みを「埼玉教育フォーラム」を通じて強めます。
 これらの活動を護憲大会の成功を担ったブロックや地区の実行委員会(その後継組織)を軸に進めます。
 3月には米軍の世界的な基地再編(トランスフォーメーション)の最終報告が予定されています。いっそうの基地強化と地域住民への犠牲をさらに強いるキャンプ座間への米陸軍第1司令部の移転や横須賀への原子力空母の母港化、横田基地の軍民共用空港化などに反対します。県内基地移設に反対して闘う沖縄県民と連帯していきます。とりわけ5月の平和行進を重視します。
 私たちが働き、住む埼玉の地から平和・人権の取り組みを強化するため、フィールドワーク「平和・人権」をさらに発展させていきます。
 
 2,原水禁運動の強化
 核保有国の核軍縮はいっこうに進まず、米ロは臨界前核実験を繰り返しています。アメリカは「核の先制使用」という選択肢を放棄せず、被爆国である日本政府もこれを追認しています。被爆者は高齢化し、残された課題を解決する時間はますます限られています。被爆者の願いである核兵器廃絶・反戦・平和の声を今こそ高くあげる必要があります。
 この間、「原子力の平和利用」の名のもとに進められてきた日本の原子力政策は、悲惨な事故の続出や電力業界の悪質な事故隠し、データ改ざん、手抜き工事などで行き詰まりを見せています。しかし、原子力推進派は青森県六ヶ所村再処理工場の稼働やもんじゅの運転再開などプルトニウム利用路線を放棄しようとしていません。
 一方、ヒロシマ,ナガサキの被爆者は、原爆症の認定を求めて集団訴訟に訴えています。被爆60周年の諸行動を受け、被爆者の生の声を聞く機会を増やすことなどに留意しながら、21世紀を担う若い世代への着実な運動継承を図ることが重要な課題となっています。&原爆の図丸木美術館への支援を進めます。「ヒロシマに学ぶ埼玉子ども代表団」は来年13回目を迎えますが、その成功に向けてカンパ活動を含め努力します。
 また非核平和行進や原水禁大会とほぼ同時期に取り組まれている原爆絵画展や青年の反核平和の火リレーとも連携を強めていきます。市町村合併を受け仕切り直しを迫られている「非核自治体宣言」の採択と実効ある取り組みを求めていきます。
 
 3,部落解放県共闘会議の強化
 狭山闘争は最高裁による特別抗告の棄却を受け、第3次再審請求が来春にも行われる予定です。
 厳しい局面であることに変わりはありませんが、事件から40年余り経過しながら、支援の輪を広げ粘り強く闘われている狭山闘争に連帯していきます。
 狭山事件の当該県として、また部落解放県共闘の一員として、解放同盟県連や「狭山事件を考える住民の会」などと連携し、再審を求めて闘います。とりわけ、若い層に運動のすそ野を広げる努力を重視します。
 また部落解放・人権確立制定要求運動に連帯する取り組みを強化します。
 
 4,食・みどり・水と環境を守る埼玉県民会議との連携
 国内外で大地震や災害が相次ぎ、食料や水、森林、健全な地域社会の大切さが再認識されています。
 しかし、BSE(牛海綿状脳症)問題では厚生労働省、農水省が基準を引き下げ、米国産牛肉を輸入できる環境づくりをしようとしています。WTO(世界貿易機関)交渉が行われていますが、地球規模で共生・共存できる「新たな農産物貿易ルールの確立」などを求めることが重要です。さらに政府は「食料・農業・農村基本計画」の見直し検討をしていますが、食料自給率の引き上げなどを求めていかねばなりません。
 循環型社会の形成や水基本法の制定、森林・林業基本法に基づく施策の推進が重要なテーマです。
 新年度も食・みどり・水と環境を守る埼玉県民会議と並存していくこととします。また、埼玉平和センターは、中央のフォーラム平和・人権・環境の食・みどり・水委員会の窓口としての役割を果たしていくことにします。

U、制度・政策要求、学習活動の推進

  経済・雇用情勢の悪化と行革・規制緩和の進行で制度・政策要求は広がりを見せています。平和センターとしての組織性格をふまえながら、学習活動の推進や構成組織などからの署名の協力要請に応えていくことにします。
 当面、アスベスト全面禁止とアスベスト対策基本法の制定を求める100万人署名に協力します。
 

V、組織の強化に向けて

 1,参加組織・個人の拡大
 前回の総会以降、社青同埼玉地本(柏原孝行委員長)が加入しました。
 今後も県平和センターの活動を紹介する資料などを作成して「核も戦争もない平和・人権・環境の21世紀」に向け幅広い結集を実現し、参加組織・個人の拡大を図ります。個人会員を対象に、「個人会員懇談会」(仮称)を開きます。
 
 2,地域組織の活性化
 地域に根ざした平和・人権運動を推進するためには地域組織が必要です。地域の実情に見合った組織の整備に向け、県平和センターとしても協力していきます。
 
 3,学習講演会の開催
 情勢と構成員の関心に合致した学習会を適宜開催していくことにします。
 
 4,ホームページ、『埼玉平和センターニュース』、Faxニュースなど情報連絡活動の強化
 激動する情勢のもとで情報連絡活動を緻密に行うことが重要です。ホームページ、『埼玉平和センターニュース』の充実を図るとともに、Faxニュースを継続して発行します。
 
 5,中央・ブロック・全国基地ネットとの連携の推進
 平和・人権運動の前進のためには中央・ブロック(関東)や全国基地ネットワーク(全国の基地を抱える県の平和センターで構成)との連携が欠かせません。連携のいっそうの強化を図ります。
 
 6,組織検討委員会の再開
 埼玉平和センターは、第4回総会(02年12月)で組織検討委員会を立ち上げ、3回の検討委員会を経て規約改正案をとりまとめ、民主団体、個人・グループに門戸を開きました。
 その後の組織状況を点検し、今後の組織の方向について検討するため、組織検討委員会を再開します。



 
 第42回護憲大会第5回現地実行委員会が12月6日にさいたま市で開かれ、1年間の取り組みを総括し、解散しました。
 総括では開会総会に県内外から4千人が結集したことを大成功と評価したうえで、その要因を「構成組織の奮闘に加え、県実−ブロック実(地区実)の取り組みが円滑に進んだこと」と「総選挙での自民党圧勝を受けて音をたてて進む政治の反動化、改憲への危機感が大会への参加を促した」と分析(要旨は別掲参照)。
 合わせて「平和憲法を無視する動きが急速に強まっている」ことも指摘し、「闘いはこれからが本番」と呼びかけています。
 なお中央の実行委員会も同月15日に開かれ、総括を確認したうえで解散しました。
 
【資料】第42回護憲大会の総括について

                          2005年12月6日      護憲大会第5回現地実行委員会

 

1,準備の経過

 @県実行委員会

 04・12・24 準備会結成

 05・4・23  正式結成

   6・13  第2回実行委員会

   9・20  第3回実行委員会

   10・12 事務局・要員責任者合同会議    

   10・20  第4回実行委員会

 

 Aブロック、地区実行委員会

 05・5・9  川越市くらしと憲法を考える会結成

   5・11  比企地区憲法をいかす会結成

   6・10  さいたま地区実行委員会結成

   9・14  北部ブロック結成

   9・22  東部ブロック結成

 

 B学習会、宣伝行動

 05・4・23  県実行委員会結成記念講演会(高橋哲哉東大教授)  

   5・11 比企地区憲法講演会(福田徹弁護士)

   5・21 西部ブロックくらしと憲法を考える集会(大田昌秀参院議員)

   9・14 北部ブロック実行委員会結成記念講演会(福島瑞穂参院議員)

   9・15 比企地区「いま、憲法を考える」(佐高信氏)

   9・22  東部ブロック実行委員会結成記念講演会(海渡雄一弁護士)

   9・25  憲法を変える? 変えない?討論会(福島瑞穂参院議員)

   10・3  宣伝行動(大宮駅)

   10・13 川越地区憲法講演会(猿田佐世弁護士)

   10・14 川口・鳩ヶ谷憲法講演会(猿田佐世弁護士)

   10・24 宣伝行動(浦和、大宮、岩槻各駅)

   11・21 さいたま地区平和憲法学習講演会(清水澄子元参院議員)

 

2,参加状況

  (省略)

 

3,成果と課題

 @開会総会に県内から約2千人、全国からと合わせ4千人が結集したことは大成功といえる。全国の多くのみなさんからもお褒めの言葉をいただいた。寝食を忘れてご協力をいただいた諸団体、個人のみなさんに心からお礼を申し上げたい。また関東ブロックからの参加も1100人余りにのぼり、平和センター関東ブロックの支援も大きな支えとなった。ブロックとしての連帯の絆を今後も強めていきたい。

 A成功の要因としては、1)構成組織の奮闘に加え、県実−ブロック実(地区実)の取り組みが円滑に進んだこと、2)総選挙での自民党圧勝を受けて音をたてて進む政治の反動化、改憲への危機感が大会への参加を促したこと−−などが挙げられる。

 B実務的にも細かな点で反省はあるものの、連日要請数を上回る要員の参加があるなど、任務を全うしていただいたことも大会のスムーズな進行とともに全国からの参加者に好感を与えた。

 C開会総会での狭山再審を闘う石川一雄さんの特別提起、2日目のフィールドワーク「狭山事件」(52人)と「秩父事件」(42人)、さらに閉会総会での丸木美術館からの訴えなど平和・人権をテーマに、埼玉から発信できたことも意義深かった。

 また「ひろば1 男女共同参画社会の実現をめざして」は関係女性団体が5回にわたって協議を重ねたうえで開かれ、女性だけでなく男性も数多く参加して成功することができた。

 さらに開会総会ではアトラクションとして2つのグループ(アカペラグループ「WGBC」と「ふるさと和太鼓研究会」)が熱演を披露し、会場の雰囲気を盛り上げるのに一役買っていただいた。

 Dしかし、小泉首相の靖国神社への参拝に加え、大会直前に自民党が「新憲法草案」を発表したほか、日米両国政府による名護市辺野古への基地建設計画の合意やキャンプ座間への米陸軍第1軍団司令部の移転、横須賀への原子力空母配備計画など、平和憲法を無視する動きが急速に強まっている。闘いはこれからが本番だといわなければならない。

 

4,今後の活動

 @第42回護憲大会現地実行委員会は、本日の第5回実行委員会をもって解散する。『現地実行委ニュース』第4号を通じ、報告活動をしめくくるとともに、財政処理も終える。

 改憲に向けた動きは今後ますます激しくなるものと思われる。平和フォーラムや平和センター関東ブロック連絡会議とも連携を図りながら、今回の成果をふまえて運動の前進を図る。

 A各ブロック、地区実でも総括会議を早急に持つ。今回の取り組みを受けて「改憲を許さない〇〇地区の会」(仮称)への移行を図ることを基本としながら、今後の組織と運動のあり方について検討する。

 



 
大宮地区平和センターが8日、浦和地区平和センターが19日、それぞれ総会を開きました。大宮地区は守屋徹代表(自治労、留任)−夏神勉事務局長(全農林、新任)、浦和地区は小暮均代表(全農林、留任)−佐藤乃洋事務局長(全水道、新任)をそれぞれ選びました。
 



 

主催者の挨拶を述べる高橋議長

 食・みどり、水と環境を守る県民会議(高橋正平議長)の第14回総会が12月16日にさいたま市で開かれ、持続可能な循環型社会の形成など地域に根ざした運動を進めることを決め、新事務局長に中島勇さん(全農林)を選びました。
 この日、多くの反対や疑問を押し切ってアメリカからの牛の輸入が再開されましたが、総会に引き続いて開かれた講演会では『もう牛を食べても安心か』(文春新書)などの著書がある福島伸一青山学院大学教授が「食と環境を考える−狂牛病が問いかけたもの」と題して講演し、参加者は熱心に聞き入っていました。
 なおこれより先の7日、上田県知事あてに「平成18年度農林・生活環境関連の主要施策及び予算に関する要請書」を提出しました。




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